8月10日のやつ

エッセイのページは消すので転載します。
題「ポテっとした気持ち」
poteanddeen2
ポテっとした人と、ディーン!って人がいる。

22歳の頃、藤沢の飲み屋で僕は友人に不意にそう宣言をした。

その宣言をするまで僕自身すらそんな違いがあることなんて微塵も知らなかったが、急に、そんな気がしてきたのだ。

面白いもので、そんな気がしてくると本当に世界はそうなっているように見える。

花屋の前で立ち止まり、じーっとしている女の子。訳の分からないことを突然告げたかと思うと、去って行くおじいさん。 子供が作った謎のハンドメイド品。幼稚園の頃、おままごとをしている時。勝手にお母さんでもお父さんでもない、ペットの犬でもない、なんなら親戚のおじさんの友達ですらない。予想外の役割を演じる子。

彼らはポテである。

一緒にいた友達も納得した。 それでは、ディーン!って人とは誰か!?

あの、行ったことないけど、六本木とかにいるような…

なぜそれだけでわかるのかはわからないが、どうやらそれも納得したようだった。

つまらなく見えた街に、ポテ族とディーン!族が生息することがわかり、途端に景色が面白くなった。

あの娘はポテだ あいつはディーン!だ とひたすら暗号的な命名を行っていく。

やや、ディーン!族に対する敵意を持ちながら、あまり社会に馴染もうとしない、かといって反社会的でも無いといった、不思議な存在、ポテ族を見つけては心の中で少し喜んだ。

ディーン!族になれば金も稼げ、異性にもモテ、社会的にうんたらかんたらという一方、ポテ族は全く金も稼げず、変なやつだと思われ、社会とよばれるものにも疎まれる。

彼らは好きな花を街で見つけたことを喜び、音楽を聞いて驚く。猫についていって道に迷う。そんなことをしている間に歳をとってしまい、今更ディーン!族になる気もなく、他の種族にはなろうとしても、結局ポテ族であることがばれてしまう。

行き場も居場所もなくなった時が何度もあった。 そんな時、何に救われたか。

それはポテである。

居場所を探してブックオフで買ってきた本のページをめくる。僕は居場所をくれる一節だけを探す。ひたすら探す。 大して取り上げられているわけでもなく、良く見ないと見つからないページにあなたはいる。

“私は20年間この粘土を…”

バカだ!いや、ポテだ!あなたは正真正銘のポテだ!

なぜ彼はポテを貫いたか。その理由は本人にすら、わからないのかもしれない。だがしかし、貫いた人がいるという事実は、何よりも僕の希望となっている。

明日は朝、早く起きなければならない。飲み終えた酒の缶を、ドラムみたいに叩こうと思っている。わーい、お酒の缶叩くの楽しいよー

そんなことは言わないが、僕に取り憑いたポテは、そう言っているのであった。

2015年 8月10日(火)